
2009年8月28日
沖縄にブロードウェイが生まれる日
見過ごしていた何かを、価値に変える取り組み
みなさん沖縄観光というと何を思い浮かべるだろうか?
過日の社内会議で、中目黒の方々に聞くと「海」とか「リゾートホテル」とか
「美ら海水族館」とか「瓦屋根」とか「泡盛」「沖縄料理」といった答えが返ってきた。
なるほどなぁ。挙がらなかったが、あと、「エイサー」とか「琉球舞踊」などの文化面や「長寿・健康」、「癒し、安らぎ」なども出てくるのだろう。
あっ、「松山」って答えた方もいた。確かに松山も一つのブランドだ(夜の)。
高度1万メートル上空から俯瞰でみると沖縄観光の大きなイメージってこのような感じなのだろうか。地上0cm。沖縄に生まれ育ち暮らしている身としては、これらの要素は当たり前に身近にあって、価値のあるものなのか?なんなのか?を意識することは、もう随分と少なくなった気がする。
琉球料理なんて普段は食べないし、琉球舞踊も見ることはない。美ら海水族館なんて一度行ったきりだ。那覇市内なんて都市化が進む一方で、緑も殆ど残っていない。「沖縄そば」「泡盛」くらいだろうか?私が身近に感じる沖縄は。。

観光立県を掲げる沖縄において、当たり前にある沖縄のいろんな要素(食、文化、自然)などを、改めてスポットを当て、価値を引き出し、発信していくという試みが官民産学、地域ぐるみで様々な方向から行われている。
上空からみるのではなく、改めて地上に降りて地道に価値を捜し引き出す活動だ。
たとえば、物産関連では、もずくやシークワーサー、ホテル宿泊関連では、ロングステイ、自然を生かしたエコツアーなど、日常そこにあったものを価値に変えて売り出しているのだ。
また、観光課題の要素の一つには「夜の娯楽」というのが挙げられる。
昼間観光して、ホテルに帰って、夕食をとって、その後の過ごし方だ。
もちろん、飲み屋や民謡など、細やかな要素は挙げられると思うが、一つ「夜の核」となるブランドイメージというものは形成されていない。
先日、その課題を解決するきっかけになりそうな、夜の過ごし方について興味深いアイテムに出会った。
人材育成と地域振興を備えた
沖縄アクターズスクールのミュージカル「S.T.A.R.」

那覇空港から車で40分。那覇市街地を抜け、国道58号線を北に進んだ宜野湾市のアンティーク家具の並ぶ通りの一歩手前に沖縄アクターズスクールという学校がある。
安室奈美恵、speed、黒木メイサなどを輩出した、あの学校である。
会長はマキノ正幸氏。「日本映画の父」として京都に銅像が立つマキノ省三の孫。
日本を代表する映画監督マキノ雅弘の息子。芸能一家のサラブレッドである。
プロデューサーはカリフォルニア大卒の村井優紀さん。
番組の脚本、演出、通訳、役者、ダンスもこなすバイリンガルのマルチプロデューサーだ。
去る8/16(日)、同校がオリジナルのミュージカル「S.T.A.R.」を公演するということで、沖縄支社のスタッフ全員で観に行った。
「S.T.A.R.」というタイトルは同校の提唱する人材育成の手法を村井さんが、4つの信念としてまとめ上げたものだ。
この信念は、地域興しや自己啓発に応用可能でSoul(心、精神力)Trust(信頼)、Art(自己表現)、Real(本物志向)の頭文字だ。
このミュージカルを通して、エンターティンメントとして地域振興に繋げ、さらには子どもや自己の才能、個性を伸ばす、ことを根底に置いているとのことだ。
また、今回の見所はマキノ氏が演出を行うという点もポイントだ。芸能一家であり、演出というのは血筋であったが、あえて避けてきたマキノ氏。自分自身を演出し己の道を貫いて生きてきたが、他人・作品を演出するのははじめて。最初で最後の演出。注目である。

そんな前提を頭にいれつつ、日曜日の夕方、支社のある那覇市新都心を出発した。
北谷町の渋滞を抜けて、開演予定の17:00を少し回ったころ、ようやく会場である「嘉手納文化センター」に着いた。外観からは分からないが、意外とでかい。1000名規模の収容施設は沖縄では貴重である。ほぼ満員。少し開演が遅れていて席に着く間際に会場が暗くなり、幕が開いた。
ステージでは、7〜13才くらいまでの子ども達が40~50名くらい?踊り出す。
ステージよりだいぶ後ろ側の席なのだが、ものすごいエネルギーが伝わってくる。
ダンスがどうとか、音楽が何、じゃなくてとにかく嬉しそう、楽しそうだった。
我々アラフォー世代には恐らくわからないだろうが
同世代の子どもたちから彼らを見た場合は、大きな衝撃を受けるのではなかろうか。
IT化社会の中で、子どもたちも大きなストレスを抱えて生活している。
自分を出せない子、引っ込んでしまってる子、いじめに悩む子。多いと思う。
約5分くらいのステージだったが、そんな子たちに一度見せてあげたいなと思った。
何かに繋がる、きっかけになる。そう思った。
続いて、いよいよ「S.T.A.R.」の開演である。
幕が開き、暗闇の中、スポットライトに照らし出されたのは村井さん。
聞き慣れた英語が会場に心地よく響き渡る。
そう、今回のミュージカルでは脚本と主演をこなしているのだ。
普段、お仕事でお付き合いをさせていただいているのだが、いつもの打合せの時とは全く違い完全に別人、役者になっていることに驚いた。

「S.T.A.R.」の大まかな内容は、ニューヨークブロードウェイの大物プロデューサーと沖縄のダンサー達が沖縄で出会い、やる気はあるけど、このエネルギーを何にぶつけて良いか?が分からない現代の若者たちが、このプロデューサーとの出会いによって沖縄という枠を取っ払ってブロードウェイという世界に羽ばたくというティーンズストーリー。
ドリームだけではなくて、リアル、現実の厳しさも描かれた若者達には是非みてほしい内容である。
また、ダンスは特に完成度が高く、大きな見所といえる。これまでのアクターズの資産(ダンス)が存分に活かされており、ストーリーを加えてミュージカルとして全く新しい自分たちの魅力が築かれていた。
修学旅行生を対象にした
沖縄独自のミュージカルブランド「S.T.A.R」の可能性
マキノ氏いわく、歌やダンスの腕前を磨くだけでなく「エンターテインメントそのもの」を深く学べる場所を作ることが、本物のスターを作ることという。
「商品としてのスター」ではなく、人間として魅力を持ち、自分の才能を使って他人を喜ばせたいと思う「アーティスト」を生み出す場所ヘ沖縄アクターズスクールを変化させている。また、エンターティンメントビジネスをアーティストサイドの観点から構築していく、スタッフづくりも推し進めている。
いままでは中央が沖縄のエンターティンメントを演出し
マネジメントしてきた。
それを沖縄の会社が、沖縄で、沖縄の人達が、沖縄のエンターティンメントをつくり、
沖縄で中央へマネジメントしていくのだ。
その将来像の象徴、集大成がこのミュージカルなのだ。
3年ぶり、2回目の公演。素晴らしい内容だった。
バイリンガルとダンスとドリームストーリー。
沖縄生まれの新しいエンターティンメントコンテンツとしてこの「S.T.A.R」は観光、
特に夜のエンターティンメントして無限の可能性を秘めている。
現在、修学旅行生を対象にした夜のコンテンツとして、JTB関東が商品として開発途中なのだそうだ。沖縄にブロードウェイが生まれる日は近い。
Archives
- ⇒ 隠れている?才能 (2010/03/15)
- ⇒ おきなわんミュージック (2010/01/05)
- ⇒ 沖縄に救世主現る? (2009/10/13)
- ⇒ Okinawa→世界を駈ける?! (2009/7/15)
- 今号の担当:kyan
- 所属部署:沖縄支社 プロデュース局
アカウントディレクター - 趣味:映画、アメリカTVドラマ(24、ダメージ、etc)他、ジム通いのあとのスイーツとビール
特技:両耳をぴくぴく動かせること



