
2010年3月15日
隠れている?才能
沖縄のアートシーン
現在、芸能界にはたくさんの沖縄出身のタレント、俳優、ミュージシャンなどが活躍しています。青い空、太陽と海、他府県では見られない独特な風土と文化を持つこの小さな島で育まれる類い稀なる才能たちが起こした、沖縄産タレントブーム。
しかし一般的な沖縄のイメージとしての唄と踊りの「芸能の島」とはべつに、おなじ「芸」でも「芸術」、アートの分野も実は相当に興味深い世界となっています。
カイナアートフェスタやARTPLEX、前島アートセンターの取り組みなど県内では様々なアート系イベント、美術展、個展などが頻繁に催され、アートによる町おこしや地域活動なども精力的に行われています。
県内の美術大学やデザイン系の専門学校から輩出された若く個性的なアーティスト※や県外で学んだことであらためて沖縄の魅力に気付きUターンし、あえて地元にこだわり表現活動をするアーティスト※も多く存在しています。(※ここでは芸術家のことを指します)
広告×アート
コミュニケーションを商いとする我々も、その才能に触れることがあります。 絵画やアニメーションなどの直感的な世界観やイメージを広告表現に転化させることはこれまでも積極的に実践されてきました。
あるビジュアルイメージをもって鑑賞、視聴する人の心を動かす。この点から言えば、アートの世界も広告表現の世界もある程度共通していると言えるでしょう。視聴者の洗練された目にかなうためには、より研ぎ澄まされた表現手法の選択が必要な場合もあります。性別や世代、嗜好の多様化などで判別の難しいタレント選びに四苦八苦するよりも一枚の絵画やイラスト、映像作品の世界観がその全てを難なく超えて行く力を持っている場合もあります。
それでは、実際に広告コミュニケーションの場でその表現力を発揮する沖縄の魅力的なアーティストたち、私が個人的に携わった仕事のなかで出会った、魅力的な才能たち、知られざる沖縄のアニメーション「オキナワニメーション?」作家をご紹介したいと思います。
■世界で活躍するストップモーションアニメーション作家
「又吉 浩」 http://w1.nirai.ne.jp/mhiro/

沖縄県出身。1973年1月1日生 「メディア・ハンティング99イン・ホッカイドウ」、「スペースシャワーTV賞」、第1回世界学生映画祭/特別賞、第1回文化庁メディア芸術祭/優秀賞、アニマセンチュリー96/グランプリ、BBCCネットアート&映像フェスタ’97、第2回デジコン/グランプリ、広島国際アニメーション・子供のためのアニメーション/入選、平成13年度(第5回)第1回文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品 入選、テヘラン国際アニメーションフェスティバル/入賞、チェコ国際アニメーションフェスティバル/入賞、NHKデジスタ/ベストセレクション、第2回三鷹インディーズアニメフェスタ/グランプリ。
■ハリウッド仕込み!双子の特殊造形作家
「比嘉ブラザーズ・プロダクション」 http://www.higabros.com

沖縄県読谷村出身。1971年生、双子。80年代SFXスペシャル・ヴィジュアル・エフェクトの略語)ブームの頃からアメリカでSFXの仕事を夢見て高校卒業後バイトをし、英語も分からないまま渡米。勉強しな がらコツコツ制作した作品をハリウッドSFXスタジオに見せて回り、スクリーミング・マッド・ジョージ氏(特殊メイク・アーチスト)の元で働き始める。
その後色々な特撮スタジオを渡り歩き、ついに念願のデビッド・アレン氏(ウィロー、ロボジョックス、空の大怪獣Q)の元で働く。97年帰国、東京で映画「学校の怪談4」、「鉄甲機ミカズキ」、「マクドナルドCM」等のSFXに関わった後、99年より地元沖縄で今までに得た技術と経験を結集した人形アニメ映画『鉄の子カナヒル』の制作を開始。9年の歳月を費やし2007年ようやく完成、沖縄県桜坂劇場にて8月4日国内初上映。
その他、RBC琉球放送「おきなわのホームソング」アニメを担当。「琉神マブヤー」美術、「オキナワノコワイハナシ」特殊メイク。沖縄県立芸大非常勤講師、桜坂劇場:怪獣造形講座講師。
■コマ撮りだけにこだわらず、多角的表現を目指すアニメーション作家
kbm ANIMATION「牧野 謙」 http://kmt88.web.fc2.com

アパレル関係の仕事から、昔から夢である動画制作を志し退職。以後、フリーで広告関連の仕事をしながら、ほぼ独学で2.5Dアニメやストップモーションアニメを制作している駆け出し最注目株のアニメーション作家
ここでご紹介した3人(4人?)はそのごく一部です。沖縄にはまだまだ底知れぬパワーを持ったアーティストがたくさん存在します。しかしその存在は全国的にはもちろん、沖縄でもなかなか知られていなという現状があります。
豊かな才能がひしめき合う沖縄のアートシーンが今ひとつ全国的な認知を得ていないことに、つぎの二つの理由が考えられます。
メディアで扱われていない顔
沖縄のアートシーンが県外に出ない二つの理由。そのひとつは彼らの持つすばらしい郷土愛です。沖縄で生まれたことの誇りと、同じ沖縄人(ウチナンチュ)に対するメッセージ。それらは県外に発せられることなく表現され、県内でのみ発信され、消化されて行きます。
もうひとつは活動の場が充実し過ぎているということ。冒頭でご紹介した通り、県内のアートシーンが多種多様、豊富に存在していることによってさらにもう一歩、県外に踏み出して表現の場を広げることに目が向かないという状態です。
古くから尊ばれる「ゆいまーる」という共同体の助け合いの精神。この穏やかな県民性がゆえの歯がゆい、もったいない現状。それは同時にメディアで扱われていない新しい沖縄の表情がまだまだたくさんあるということも教えてくれます。
沖縄ブランドの今後。
芸能界で起こった沖縄タレントブームも、いまは低迷期を迎えている感があります。
もう沖縄出身というだけでは注目されない。全国デビュー!という輝かしい栄光の反面には、商業ベースの単一化されたイメージ戦略、つまり「ウレるための加工」が施されてしまうことも見のがすことの出来ない事実です。
観光シーンが各メディアでも盛んに取り上げられ、俗にいう「沖縄フリーク」な有名人も各界に多く存在し、様々な意味で「落ち着いた」感のある沖縄ブランド。
ひと昔前は魅力的な未知の領域だった沖縄が、いまでは誰もが(訪れたことはなくても)知っている「あの場所」となり、悪く言えば、行かなくても知っている、遠いけど近い場所となってしまっているのではないでしょうか? 個性的な沖縄、見失われつつある本来の魅力を県民自身が再認識し、今後の新たな地域ブランドの開発に向かうべき時がすでに来ているのです。
今回ご紹介した作家たちの持つ可能性。独特な文化土壌のなかで発展し続ける孤高の沖縄アートシーン。その知られざる才能を出来るだけタイムリーに全国区で共有することは、今後の新しい沖縄ブランド確立の大きな可能性を秘めていると思われます。
ご興味を持たれた方は、ぜひ直接コンタクトを取ってみてください。そしてその魅力、豊かな表現力と無限の想像性に触れてください。
Archives
- ⇒ おきなわんミュージック (2010/01/05)
- ⇒ 沖縄に救世主現る? (2009/10/13)
- ⇒ 沖縄にブロードウェイが生まれる日 (2009/08/28)
- ⇒ Okinawa→世界を駈ける?! (2009/07/15)
- 今号の担当:HAMADA
- 所属部署:沖縄支社 ディレクター
- 趣味:映画&音楽、読書、写真、園芸、
物産展めぐり。
特技:家事、モノ作り全般。



